生理前の便秘のナゾ
生理前になると便秘がちになったり、お手洗いの回数が減ったりしませんか?実はこれ、一見悩める症状に見えますが、体の自然なリズムによるものでもあるんです。なぜそのような反応が起きているのか理解することで、より一層セルフケアがしやすくなります。この記事では、ホルモンの役割や周期、便秘の原因、そしてどんな対策ができるのかについて詳しく説明します。音声で聴きたい方はpodcastでお楽しみください☺︎
1、女性ホルモンについて理解しよう
女性ホルモンの代表的な存在、よく知られていて月経にダイレクトに関わっているのがプロゲステロンとエストロゲンです。まずはこの2つの役割について理解していきましょう。女性ホルモンの代表的存在のこの2つですが、男性も分泌されます。
プロゲステロンの役割
プロゲステロンは、女性の月経周期と妊娠の維持において重要なホルモン。排卵後、黄体*から分泌され、以下のような役割を果たします
*黄体は、排卵後に卵巣内で形成されます。具体的には、成熟した卵胞が排卵によって破裂し、卵子が放出された後、その残りの卵胞組織が黄体となります
役割1:子宮内膜の準備 排卵後にプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい環境を整える
役割2:妊娠の維持 受精卵が着床し、妊娠が成立すると、流産を防ぐために子宮内膜を保護し、子宮筋の収縮を抑制する
役割3:消化管の運動抑制:プロゲステロンは消化管の蠕動運動を減少させるため、食物が消化管を通過する速度が遅くなり、便秘を引き起こすことがある
エストロゲンの役割
エストロゲンは、女性の生殖機能や全身の健康において重要なホルモン。エストロゲンには主に3種類あり、卵巣、副腎皮質、脂肪組織、妊娠中の胎盤などから分泌されます。他にもエステトロールやエストロゲン様作用を持つ物質が存在しますが、特定の条件下や状況で役割を果たします。主に生理的に重要なのは次の3種類です。
1. エストラジオール(Estradiol, E2):最も強力で活性の高いエストロゲン。生殖年齢の女性において主要なエストロゲンであり、月経周期を調整し、妊娠を維持するために重要。
2. エストロン(Estrone, E1):エストラジオールよりも弱いエストロゲン。主に閉経後の女性において主要なエストロゲンとなる。
3. エストリオール(Estriol, E3):妊娠中に特に重要なエストロゲン。妊娠中に胎盤から分泌され、胎児の発育と母体の準備に関わる。
エストロゲンは以下のような役割を果たします。
役割1:第二次性徴の発現 思春期において、乳房の発達、陰毛や腋毛の成長、体脂肪の分布など、女性らしい身体の発育を促進。
役割2:月経周期の調整 卵胞の成熟を促し、排卵を準備。子宮内膜を厚くし、受精卵の着床をサポート。
役割3:骨と心血管系の健康維持 骨密度を維持し、骨粗しょう症の予防に関わる。血管の健康を保ち、動脈硬化のリスクを低減する。
役割4:皮膚と髪の健康 皮膚の弾力性や保湿を助け、髪の成長を促進。
役割5:感情と認知機能 気分の安定や認知機能の維持に関わり、精神的な健康をサポート。
2、月経周期中のホルモン変動
女性の月経周期は約28日間で、ホルモンレベルはその周期に応じて変動します。主な周期(フェーズ)はこんな感じです。
卵胞期:月経開始から排卵までの期間で、エストロゲンが増加し、卵胞が成熟する
排卵期:エストロゲンのピークに達し、LH(黄体形成ホルモン)の急増により排卵が起こる
黄体期:排卵後、黄体からプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を受精卵の着床に備える
月経期:妊娠が成立しなかった場合、プロゲステロンとエストロゲンのレベルが低下し、子宮内膜が剥がれて月経が始まる
「ホルモンバランスが乱れている」というワードをよく耳にしますが、自分のホルモンバランスを把握するとても簡単な方法は「基礎体温を測る」ことです。妊娠を望んでいても、いなくても有経の女性は(初潮を迎えたばかりのティーンも!)必ず!かならず!測りましょう。ミトコンドリア(体内のエネルギー工場)の状態もわかるので、測らないのはもったいないです。
基礎体温用の体温計は、発熱時に使う体温計とは別のものになります。持っていない方はこの機会に購入しましょう。3,000円しないくらいで買えますよ。私が次買うなら、オムロンのアプリと連携ができるこれがいいなと思っています。今は手動で記録しないといけないこちらを使っています。基礎体温の役割は十分果たしてくれるのですが、記録の手間が省けるなら、アプリ連携タイプがいいな、しかもそんなに値段も変わらないし、と感じています。あとはつけたまま寝ることで計測してくれるものもあるみたいですね。こちらは使ったことがないので、なんとも言えませんが、どうしても測るのを忘れちゃう!という方には向いているのかも?
基礎体温計と調べると必ずと言っていいほど「妊活」というワードが一緒に表示されますが、気にしなくていいです。妊活していても、していなくても基礎体温は測るべきです。セルフケアに大いに役立つヒントがたくさん得られます^^
3、生理前の便秘の原因
生理前に便秘になる主な原因は、プロゲステロンが増えることによる影響です。具体的な理由はこちら
1. 消化管の運動抑制:プロゲステロンが腸の蠕動運動を減少させ、便が腸内に長く留まりやすくなる。
2. 水分の保持:プロゲステロンには、ナトリウムの排出を促進し、体内に水分を保持する作用があり、ホルモンの変動により体内の水分保持が増加し、便が硬くなることがある。
3. 食事の変化:月経前症候群(PMS)により、甘いものや脂っこいものを多く摂取することがあり、これが便秘を悪化させることがある
4. ストレス:PMSに伴うストレスや感情の変動が消化器系に影響を与え、便秘を引き起こすことがあります。自律神経が交感神経優位だと、消化器の動きが鈍くなる。
4、対策
1. (普段からの)食事の改善
• 食物繊維の摂取: 便秘といえば!おど定番アンサーですがやっぱり大事です。全粒穀物、果物、野菜、豆類など、食物繊維を豊富に含む食品を摂取しましょう。食物繊維は腸の動きを助け、便のかさを増やしてくれます。繊維質のものを食べるとお腹が張る人はSIBO*の可能性もあるので、自分の状態をよく観察しましょう。
• 水分補給: 十分な水分を摂ることは、便を柔らかくし、腸の動きを促進します。適切な水分量は人によって変わります。一概に言えてわかりやすい目安として、透明なおしっこがキープできるようにするといいと思います。ただのお水を飲むとお腹がチャポチャポしてしまう方は、経口補水液やハチミツ+海塩+レモンを混ぜて飲むといいでしょう。私自身、生理の一週間前は普段以上に水分摂取を心がけています。これだけで生理痛が格段に良くなりました!簡単すぎてウソみたいだけど。
• 発酵食品の摂取: ヨーグルト、キムチ、味噌などの発酵食品には、腸内の善玉菌を増やす効果があります。これにより、消化を助け、便秘を予防します。こちらも便秘の鉄板対策ですね。そして食物繊維と同じ、発酵食品でお腹が張る人、SIBO*かも。
*SIBO:SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth、短腸内細菌過剰増殖症)は、小腸内で細菌が異常に増殖する状態。通常、小腸には少量の細菌しか存在しませんが、SIBOではこれが増えすぎてしまいます。これにより、消化不良や栄養吸収不良が引き起こされ、様々な症状が現れ流のがSIBOです。
2. 運動
• 定期的な運動: 運動は腸の動きを促進するため、便秘解消に役立ちます。ウォーキング、ヨガ、軽い有酸素運動などを日常生活に取り入れましょう。
• 特に効果的なエクササイズ: ヨガのねじりのポーズや腹筋運動など、腸を刺激する運動が効果的です。それに背骨を捻る運動は自律神経の調整力を高めてくれます。背骨周りの筋肉は特に柔らかく保ちましょう。
3. ストレス管理
• リラクゼーション法: ストレスは便秘を悪化させることがあります。瞑想、深呼吸、マインドフルネスなどのリラクゼーション法を試してみてください。交感神経に偏りすぎた自律神経のバランスをとりましょう。緩めたい時に緩められるように、自分の方法が見つけられるといいですね。ふわふわのブランケットを触る、太陽を浴びる、ハミングする、ブレスワークをするなどちょっとしたことでも意識的に行うと効果抜群です。
(詳しくは自律神経の講座やカウンセリングでお伝えしています)
• 十分な睡眠: 睡眠不足はホルモンバランスを崩し、便秘を引き起こすことがあります。規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。私は9:30pmにはベッドに入ってゆったりするようにしています。
4. サプリメント
• マグネシウム: マグネシウムは腸の動きを助ける効果があります。サプリメントを適量摂取することで便秘を改善することができます。不足気味の人が多い現代、便秘だけでなく全身の健康にかなり重要なミネラルなので、意識して取っていきたいです。こちらのブログ記事&こちらのポッドキャストで詳しく話しています。
• プロバイオティクス: プロバイオティクスサプリメントは腸内環境を整え、便秘の予防に役立ちます。相性が結構大事だったりもするので、自分に合う菌に出会うまでいろいろな種類を試していけるといいでしょう。
5. その他の対策
• 食事のタイミング: 規則正しい食事のタイミングを守ることで、腸の動きを整えることができます。それから規則正しい生活も大事です。超基本ですが。規則正しい生活は地味ですけど、コルチゾールの概日リズムも整えますし、自律神経のバランスも整えます。やっぱり基本は大切にしたいですね。
• 便意を我慢しない: 便意を感じたらすぐにトイレに行く習慣をつけましょう。便意を我慢すると便秘が悪化することがあります。これは、本当に。体からのお知らせにはすぐ答えてください。朝、トイレに行く習慣をつけると体はそのスケジュールを学びます。初めはなかなか出なくても、10〜15分くらい、トイレに座ってください。体がリズムを掴んで、腸内環境が整ってくると、5分とただ図に用を済ませられるようになります。これが一日に1〜2回くらい、力まずともするっとバナナ状の便が気持ちよく出て、嫌な匂いがしないのが理想の状態です。回数出ていても、すっきりしない場合も何か改善点があると考えていいでしょう。
5、まとめ
生理前の便秘は、主にホルモンの変動によって引き起こされます。ホルモンの自然な動きではあるものの、症状が強く現れている場合、目も向けたい根本的な問題が隠れているかもしれません。まずは規則正しい生活、食事、水分補給、運動、ストレスマネジメントを徹底してみましょう。ここに本気で取り組むことで、生理前の便秘だけでなく、あらゆる面で変化を感じられると思います。機能性医学では、すべてのことが全てのことと繋がっていると考えられるので、一つの物事にフォーカスして取り組むと、思わぬところでも変化が見られることはよくあるのです。
一生懸命まとめてみました。役に立ったと思ったらぜひ、お友達やご家族、SNSなどでシェアしてください。必要な方に届きますように。